恋が本気になるまで 12 |
君の虜 君の虜 君の虜 君の虜 君が望むものはすべて与えよう だから君も満足したら僕の虜になってよ 君だけが必要な僕には君が虜になってくれたら それで満足だから 僕の虜に虜 |
「大石。」 「どうしたのタカさん?」 「大石、なんか最近英二の様子変じゃない?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」 俺の台詞に伏せ目がちになる大石。 いつも英二の心配をする心配性な大石が好きだった。でもそれは大石の恋が決して 成就しないと知っていたから・・・・・・・・・・・・。 けど今はフリー。大石の思い人・・・英二はフリー。 「ねえ、『かくかくしかじか』ってどうして『しかじか』はにごるのかな。」 訳の分らないことを言って人を困らせる。寂しがりやな英二は兎に角部活でいろん な人にちょっかいを出す。そんな英二にも嫌な顔一つしないで笑顔で接する君が好 き。 「英二。そろそろフォーメンションの練習しよう。」 英二がある二人を目線で追いかけていたのに気付いた大石はそっとたしなめた。 大石はたしなめる振りをして英二の気をそらしてあげる。大石は英二が辛そうにし ているのが絶えられないんだね。 それなら本当のことを言えばいいのに・・・・・、いっそ思いを告げてしまえば楽 になるのに・・・・・・・・。 俺が楽になるのに・・・・・・・・・・・・・・。 こんなに近くで大石の英二への気遣いを見ていると辛くなる。こんなに大石が好き になっていたなんて・・・・・・・・・・・・・。 気付かなければ良かった。 いっそずっと気付かずにずっとずっと友達のままで入れれば良かった。 「タカさん一緒に帰ろう。」 いつものように声をかけてきた大石。 前に一緒に帰る理由を聞いた時、”方角が一緒だから”と笑って答えた時の大石の 笑顔がとても好きだ。 「おおいっし。俺も一緒に帰りたい!」 英二が突然言い出した一言が俺に最大級のダメージを与えた。こんな考えはあさま しいけど俺と大石のちょっとした時間をも英二は入り込んでくるのだろうか? きっと大石はあの笑顔で一言”いいよ”って言うに決まっているから・・・・・・ ・・・・。 俺は無言で大石の言葉に耳を傾けた。 「ごめんね英二。タカさんと寄る所があるんだ、だからごめん・・・・・・・ ・。」 大石が言いにくそうに英二に謝るのを俺はボー然と聞いていた。 「そっか。しょうがないよね。」 英二は笑顔で俺を見るとあっさりと諦めた。俺はしばし信じられないものを見るよ うな目付で大石を見つめてしまった。 「帰ろうか、タカさん。」 大石に促され俺は鞄を取った。 下級生の声に答えながら校門をくぐると道は静かな通りへと入っていった。 「大石。どこかよるの?」 俺は控えめに声かけた。大石は振り向きもせず答えた。 「公園によっていいかな。」 「いいけど?」 二人は暫らく無言で歩いていくとそこはつい最近衝撃的なシーンを目撃した公園 だった。できれば今はあまり近寄りたくない所。 あの日手塚と不二と英二がいた公園。 「あの・・・・・・・・・・・。」 公園に着きジュース片手に立ち尽くす大石と俺。どうしたらいいのか分らずただ 黙っていた。 「タカさんに大事な話があるんだ。」 大石が切り出した一言。きっと次に続く言葉は・・・・・・・・・・英二の事? 「な、なに?」 俺は動揺し声が上ずってしまった。 英二の事なんて相談されたくないのに・・・・・、大石にだけは相談されたくない のに。 「・・・・・・・・・・・・・。」 何も言わない大石。先に痺れを切らしたのは俺。 「大石はさっき何で断ったの英二の事。」 言いたい事がまとまらず主語が抜け文法的には可笑しなことになってるのにとりあ えず大石には伝わったようで大石の表情が固くなる。 「それは・・・タカさんと帰りたかったから。」 「???」 「タカさんと二人で一緒に帰りたかったんだ。」 「え、え・・・え・・・・・・・・。」 え、以外何も発する事の出来ない俺に大石は真っ赤になって俯いてしまった。 「大石それって・・・・・・・・・。」 「ごめん!」 大石にその言葉の真意を確かめようとした俺の言葉に重なるように大石が謝る。 「別に謝る事じゃ・・・・・・・・・・・。」 「好きなんだタカさんの事が・・・・・・・・・・・・。」 「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」 「だからごめん。」 俺が驚いてるうちに大石はすっと立ち上がり謝罪の言葉をくちにして逃げようとし た。ま、まさか言い逃げ? 「待って、大石。」 「タカさん、怒ってないのか?」 「なんで・・・。」 「気持ち悪いだろ。」 そっか!大石には俺の気持ちが分らないから男に告白されて男が喜ぶわけ無いって 思ってるんだ。当たり前だよな。 「大石!気持ち悪くなんか無いよ。・・・・・・だって俺も大石のこと好きだから ・・・・・・・。」 しかし大石が少し戸惑ったような表情で俺の言葉の後を続けた。 「違うんだタカさん。・・・タカさんのこと友達としてじゃなくて・・・・・・・ ・・好きなんだ。」 大石が硬く暗い顔で呟いた。俺の言葉を遮るように・・・・・・・・・そんなこと わかってるのに俺も一緒の気持ちだから・・・・・・・・。 「大石、わかってるよ。だって俺も・・・・・・・・・・大石のこと・・・・・・ そういう意味で好きだから・・・・・・・・・。」 今度は大石がメチャクチャ驚く番だった。口開けてボー然としてる。こんな大石の 表情とんとお目にかかれないよ。 「ホントはずっと英二に嫉妬してたんだ。」 俺はやっと大石に本音を言えることが出来た。 そう俺はずっと英二に嫉妬してた。大石の心配も笑顔も優しさもずっと独占してき た英二に・・・・・・・・・・。 「タカさん、俺だってずっと不二に嫉妬してたよ。」 不二?何で? 「だって・・・・・・ダブルスの時不二を庇って腕、怪我したろ?」 そんな事で・・・・・・・・・・・。アレは別に不二じゃなくたって・・・・・・ ・・・・。そんな事を思いながら大石と目が合った。 「あはははは。」 二人互いの思いが妙に可笑しくなって二人で顔を見合わせて暫らく笑っていた。 「”大石”が好きだよ。」 「ああ俺も、”タカさん”が好きだ。」 俺がそっと告げると大石がそう返答して二人はキスをした。 それは二人の始まりのキス。二人の出発のキスだった。 |
| ← 小説TOP → |