さよならの言葉より---3---


飛べる 飛べる 飛べる
飛行少年 未来を信じ飛び立つ





***act.7 何回目の真実***


 おんぼろの心、おんぼろの信念。身に付けて誇りを纏う。
 曲げない事実、曲げない心理。身に付けて真実を纏う。


 「不二!」
 僕の名を呼びながら翔けてくる英二を見つけ僕は立ち止まり話し掛ける。
 「あ、英二。待ってたんだよ。部活の送迎会の前にクラスのみんなが写真撮ろうっ
て。」
 「ゴメン不二。その前に、手塚見なかった?」
 「手塚?・・手塚なら今日はもう生徒会の方で会があるから部の方は顔出せないっ
ていってたよ。」
 「えっ?!」
 「今行ったばかりだからまだ追いつくんじゃないかな。」
 本当のことちゃんと言わないと君の恋は終わらないんだ。当然、前にも進めないよ
ね。
 フン切れないまま燻る心は君に一生圧し掛かる。
 そんなのフェアじゃないよ手塚。君に一生英二の心を上げるつもりはないから今手
伝ってあげるよ。
 「ありがと不二ー。」
 言うか否かで走り出す英二を見送って呟く。

 「先はまだ長いんだ。」 
 そして僕は背中を押す。





***lastact 行き場がない気持ち***


 未来を掴む力。もぎ取る意思。それら総て俺の源。


 「手塚!」
 「・・・・・。」
 名を呼ばれ振り返り驚いた。
 菊丸英二。先程空を切る手を思い出す。
 「菊丸・・・。」
 引きつりそうな喉でやっと搾りだすと菊丸は大きく一つ深呼吸した。
 「最後だから言うね。もう会えないかもしれないから・・。俺ね手塚がずっと好き
だったんだ。」

 「・・・・・・。」
 菊丸の気持ちを聞いても即座に頭で理解できない。脳内の言語処理能力が停止した
らしい。
 「ごめん。突然ヘンなこと言って・・それだけだから〜じゃぁ・・・。」
 「待て!」
 後悔をしないように今度はしっかりと腕を掴んだ。その温もりにもう先ほどの空を
切る虚しさはない。
 「な、なに?」
 目を見開き俺の表情を伺う菊丸に俺は一歩進む。そして抱き込むと耳元に一言告げ
た。

 「俺も好きだ。」

 こんなに簡単なことだったんだ。告げようと思えばいつでも言えたのに自らの勇気
のなさが誤解させ、戸惑わせた。
 「うそ・・・。」
 「嘘ではない。」
 抱きしめる腕に力を込めそういいきると菊丸は身じろいだ。
 「でも・・遠くに行っちゃうって・・・。」
 「遠く?そうだな、電車で三、四十分程だが遠いと言えば遠いか?」 
 「ヘッ?」
 逡巡してからそう伝えると菊丸はどうしてか驚きの顔のまま固まってしまったので
言葉を付け足す。
 「んっ?もちろん家から通うのだが・・・。」
 「えっえぇえええぇっぇぇーー・・・。」
 何故そんなに驚くのか?
 「だってだって・・県外って・・・。」
 「確かに県外だが三、四十分だから家から通える・・・。」
 「乾に騙された〜〜〜〜〜。」
 「?」
 どうやら乾になにやら言われたようだ。
 「どうしよう・・・俺ってば大変なことしちゃったよ・・・。」
 「何がだ。」
 「だってもう会えないと思ったから・・・。」
 そう言うことか・・。それならば。
 「喜べばいい。気持ちも通じこれからもずっと一緒にいられるのだから。」
 少しだけ笑顔を浮かべていたのだろうか?俺の中には今喜びが充満してる。
 「・・・手塚って・・意外とポジティブなんだね・・・。」
 意外?そうだろうか。
 俺が首を捻ると菊丸はにっこりと笑って言う。
 「手塚のこともっと色々、知りたい。だからやっぱり嬉しい!」
 「ああ。」

 人生後悔のしないと誓ったらこの恋に勝利した。










+++番外act みんなが英二を好きだから+++


 どうやら上手くいってしまったみたいだが高校生活はまだ始まっていない。
 第一戦が終わったばかり、勝負もこれからだ・・・。

 「乾、君もしたたかだね。でも同じ高校だからって喜ばれるのは最初のうちだけだ
よ。」
 少しだけムッとなったが俺は逆ににやりと笑みを浮かべ言い返す。
 「不二は違うからな。わざわざ外部に行くとは思わなかったよ。」
 不二もムッとなり返してきた。言葉の応酬。
 「でも助かるよ。乾がいてくれると英二に変な輩が近づくのを防いでくれそう。い
いボディガードだよね。」
 不二と対峙する俺に同級生たちも遠巻きに眺めてる。
 「しかし不二も余裕だな。これから英二を狙って外部生が青学に来るって言うのに
わざわざ親友の座を明け渡そうって言うんだから。」
 「思うところあってね。」

 これでは埒があかないな・・・。
 結局俺たちは今のところ英二が幸せならそれでいい。







言い訳
 どうも、こんなにも早々と終わった作品は始めてかも・・・。
 どうしてだろう?やっと終わったのに終わった感じがしないのは
最後の乾の語りがこれからの波乱を暗示しているからだろう。
 続きはないですけど続きがありそうな終わりだからでしょう。
 まぁたまにはありかなと・・・。

 2003.6.15


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