愉しいレッスンONE 1 |
イヌイノコト、ドウオモッテイルノカナ・・・・ |
「菊丸、それもこっちに持ってきてくれ。」 部室の外で話し声が聞こえてきた。僕は思わず耳を済ませていた。 声の主は乾のようだ。 英二は乾と一緒にいるの? いつもなら英二はクラスが一緒の僕=不二周助=が掃除の時には一緒に部活に行くために待ってる。それが今日に限っていなかった。 部室に先に来てるのかと思えば、部室には人の姿もなく鞄さえもなかった。心配になって探しに行こうとした矢先、今に至る。 「イーヌーイ、これって何がはいってるの?やけに重くない?」 乾と英二?いったい何をしているのだろう?部室に近づいてくる二人のけはいに僕はさっと身を隠した。暫らくしてドアのあく音が部室に響く。 「菊丸、わざわざ悪かったな。」 乾の声。 「別にいいけど。」 英二の声。 「ところで菊丸、不二はいいのか?」 乾の声。英二の答えが気になる僕。 「うん、平気。不二は今日掃除当番だからそれに乾と一緒に居たかったからにゃ〜。」 英二・・・・。 ”それってどういう意味?”なんていまさらいう気はないけど改めて、はっきりと英二本人の口から聞くと辛いものがあるかな。乾にも殺意がわくし。 「菊丸、その手の冗談は洒落にならないから止めておけ。」 乾の声。 その声には何の焦りも感情もない声だった。乾・・・???冗談って・・? 「なんでさぁ。いいじゃん。」 英二? 「俺の命が危ないからだ。」 !?・・・・・。 「どうして、乾の命が危ないのさぁ。」 英二が呟く。 「不二に呪い殺される。」 乾の声。酷い言われようだな、呪ったりはしないよただ・・・・。(ただなによ?) 「どうして、どうして、不二が乾を呪ったりするの?」 英二・・・・。何も判ってない。 そこがまた可愛いんだけどね。 「・・・・・・気付いてないのか菊丸。不二は・・・・。」 乾、余計なこといわないでよね。どうして僕が今まで黙って指くわえて見ていたと思ってるのさ。 僕の視線(殺意)が通じたのか(?)乾は黙った。 「不二は別に乾を呪ったりしたいよ。不二は皆に優しいもの。」 英二・・・?僕は決して皆にやさしいってわけじゃないと思うのだけど?それは乾も同意見のようで失礼なことに首を傾げている。 「不二が?やさしい?それはない。しかも皆にやさしいなんてもっての他だろ。」 “何処をどう見たらそういうふうに見えるんだ”と続けた乾。そんなに失礼なこと断言しないでくれないかな乾。呪うよ。 「やさしいよ不二は誰にでもだから時々嫉妬するんだ。俺だけを見てくれたらって・・・。」 英二が真っ赤になりながら呟く。 英二のその可愛さ、僕は今すぐ出て行って押し倒したくなってしまうじゃないか(おいおい中学生)。 「忠告しておくが菊丸、狼達の前でその顔はやめておけ、即食われてしまうぞ。」 「狼って?」 「代表的なのは不二だな。」 「フジ〜?・・・・どういう顔すればいいの。」 英二は乾の忠告に今度は拗ねてみせる。そして乾と机をはさんで向かい合った。 乾は英二の顔を右手で掴むと自分の顔を近づけていった。英二の可愛い顔を間近で見るなんて乾どういうつもり?それ以上近づいたら本気で呪うよ。 「英二。」 「へ・・・?乾・・・今、英二って名前で呼んだ??」 さっきよりもさらに顔を真っ赤にする英二。乾は直も近づいていく目を閉じて・・・。 あ、それ以上は・・・・。 「乾!」 僕はたまらず飛び出し乾と英二の間に割って入った。これに驚いたのは英二でまだ顔を赤くしたまま目をまん丸に見開いていた。 「ふ、不二。どこから来たにゃ?」 そんな英二の至極当然な質問も軽く無視して乾に笑顔で尋ねた。 「乾どういうことかなこれって。」 乾だけに聞こえる声で僕が言うと乾もそれで返す。 「不二、笑顔で脅すのはやめてくれ。これは不二の為にやったんだ。いつまでも煮え切らないお前たちのために・・・・。それじゃ俺はもう行くから後は二人でごゆっくりどうぞ。」 余計な御世話だよ乾。お節介もほどほどにして欲しいよ(怒)。 乾が去るのを見届けてから英二の方へ顔を向けると英二の方は俯いていた。 「不二はいつから部室にいた。」 「最初からかな。」 「?!・・・・・。」 「・・・・・・・。」 「・・・・・・・。」 「英二は乾の事が好きなの?」 沈黙が耐え切れなくて最初に口をついた言葉は自分でも想ってもいない言葉だった。 「そんなことある分けないだろ。だって俺がすきなのは・・。」 「好きなのは・・?」 「不二だよ・・・。文句ある!」 「あるわけないよ。僕も英二が大好きだからね。」 英二ににっこり笑って近づくと英二はさっきより更に真っ赤になって俯いた。 それにしても乾に貸しを作るなんて僕としたことが・・・、どうやって返そう?やっぱり呪いがいいかな・・・・。 end |
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