恋が本気になるまで 5


僕が見つけた宝物 君が見つけた宝物
あなたが探した宝物 誰かが落とした宝物

俺が見つけた宝物 私が見つけた宝物
あなたがくれた宝物 誰かが手にした宝物

同じ宝物なのに違う宝なのは何故



 「手塚どうしたの?様子変じゃない?」
不二が俺に話し掛けてきた。今の俺は指一本だって余計に動かす気力はないのにこうして日常を生きている。
あの日与えられたダメージはかなりの確率で俺の内側を蝕んでいた。
 「別に。」
そうかな呟いて鋭い眼光を向ける不二。カンのいい奴だ。何故俺の調子が悪い事がわかるのか?
 「英二がずっと休んでるから・・・英二が心配なの?」
しかも理由まで当らずとも遠からずで俺は黙り込んでしまった。
 「不二先輩。菊丸先輩のこと何か知ってるんですか?」
いつの間にか俺と不二の背後にきていた越前が菊丸の様子を尋ねる。
 「クラスの連中が御見舞いに行ったときはとても起き上がれる状態じゃないとかで会えなかったみたいだけど・・・・。」
そうなのか・・・・・・・・・。英二大丈夫なのか?
具合よくないのなら俺がすぐに飛んでいって傍にいてやりたい。傍でいくらでもついていてやりたい。
英二は誰よりも寂しがりやだから誰もいない家で寝ているのは耐えられないだろう。
誰か帰ってくるまでずっと傍で寝顔を見つめていたい。
でもその役目をもう俺が出来ないことを知っていた。

乾・・・・・・。
あの時俺が行くまでに何かを話していた。
突然の別れ話には何かしら関係あるのだろうか。
英二があんなに辛そうに話す姿、今でも覚えている。
あれからもう9日たっている。
英二謝っていたな。謝る必要などないのに・・・・・。謝るとしたら俺のほうだ、
英二はいったいどんな気持ちで今まで付き合っていたのだろう。
俺は知らなかった英二と乾が1年前付き合っていたなんて・・・・・・・・・・。
俺の独りよがりな気持ちだったのだろうか?

 「乾、話がある。」

何を言うつもりなんだ俺は・・・・・・。
部活中、突然大声をあげた俺に周りにいた不二、越前は驚き部員たちは動きを止めた。乾は特にこれといったリアクションもなく無言で俺に近づいてくる。
 「手塚?何か・・・・・。」
乾が言い終わる前に俺はそれを遮るように話しだした。
 「乾、悪いが今日の帰り菊丸の様子を見てきてくれないか?・・・大会前の青学テニス部にとってなくてはならないメンバーだからな。」
 「え。」
乾が珍しくメガネの奥で瞳を揺らした。驚いてる?
 「どうした。」
 「いや手塚はまだお見舞いに行ってないのか?」
この質問はどういう意味だ?乾は俺と英二が別れたのを知らないのだろうか?俺は心の中の動揺を悟られないように静かに答えた。
 「行っていないが。」
乾はまだ何か言いたそうだったが俺は話を打ち切り背を向けようとした。
 「頼んだ・・・・・・・・。」

 「部長。その役目俺が行きます。」

 「越前?」
黙って聞いていた越前が俺と乾の間に割って入り言い放った。
 「菊丸先輩の様子俺が見に行ってもいいっすよね。」
 「・・・・・・・・ああ。」 
越前のあまりの鋭い瞳に俺は凝視し頷く事しか出来なかった。






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