僕らのアイドル! 6 最終話


小悪魔のように微笑んで天使の行いをする貴方

その笑顔が眩しいと感じるのは俺の心が

天使だからなのか?悪魔だからなのか?

答えは貴方だけが 知っている




とうとうコンソレーションの当日がやって来た。
学園側はテニス部との話し合いでこの間の観月の決定をこの試合のあと再度決める事に了承していた。裏を返せばこの試合に負けた時点で観月は学園を去らねばならないということだった。
いつもよりもより重苦しい空気がルドルフ学園テニス部に漂っていた。

そんな中、観月が赤澤にだけ重い口を開いた。
 「赤澤。多分この試合、氷帝との一騎打ちとなると思います。僕の知ってる限りで氷帝の情報を・・・・・・・・・。」
観月の意外な言葉に赤澤は一瞬何のことを言ってるのか理解しかねていた。
 「観月?いつものように氷帝を偵察したってことか?」
 「違います。偵察などしなくても分るんです。僕は以前氷帝に居ました。」
 「え?いや待てよ!そんなはずないだろ!だって観月は確か●△県××学中から来たって・・・・・・・・・。」
 「それも本当です。そこは祖母の実家があるところでまあ居たのは1ヶ月程ですけど・・・・・・・。で祖母のもとに引き取られていたのです。」
 「祖母さんの?」
ずっと謎に包まれていた観月の家族関係が今観月の口により語られようとしていたがそれが氷帝戦と一体どおいう関係があるのか赤澤にはさっぱり分らずとりあえず耳を傾けた。

 「そうです。僕は父に勘当され家を出たんです。」

 「な・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 「今から丁度2年前、父は氷帝の理事長をしており僕は当然氷帝へ通っていました。ところがテニスを始めた僕に父はいい顔をしなかったのです。」
 「どうして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 「さあ・・・、やはり父を引き付けるほどの才能ではなかったと言うことでしょうかね・・・・・・・・。」
 「そんな事・・・・。」
 「父は僕にテニスを止めるよう散々言いました。けど一向にやめる気配のない僕に痺れを切らしそれならと内から手を回してきたのです。」
 「う、内から・・・・・?」
 「そうです。僕を部へは居られなくしていったんです。」
赤澤は言葉をなくしただ観月の独白を聞くことしか出来なかった。

 「僕の実力不足ということもあるでしょうが決して僕はレギュラーにも補欠になることはありませんでした。」
 「観月が補欠にも・・・・・。」
 「僕は父に反発し家を飛び出したのですが・・・・・・・母が程なくして倒れたので戻りました。しかし冷却期間を置く必要があると祖母のもとへと預けられ・・・・・その後は赤澤も知っての通りルドルフに声をかけられこの学園へとやってきたのです。」
観月の言葉が途切れ重苦しい沈黙があたりにたちこめたそれを打ち破るように赤澤が掠れた声で呟いた。
 「それじゃあこの氷帝戦は観月にとっても因縁の対決だってことか?」
 「そうですね。」
 「じゃあ尚更勝たなきゃじゃないか!・・・・・・・・・観月のためにも。」
 「いえ、赤澤。試合を楽しんでください。」
 「何言ってるんだ観月!」
赤澤は観月の言葉に反論するように声を上げた。しかし観月は静かに首を振ると穏やかな表情で続けた。
 「皆がテニスを楽しんで欲しいんです。僕のことはお気になさらずに学園を追い出されても・・・・・父とは話し合って本当の意味で分ってもらったらルドルフに戻ってきますから・・・。」
 「観月・・・・・・・・・。」
 「父と向き合って始めて前に進めるんだと分りました。だから今日は勝っても負けても皆とは最後の試合です。」
 「勝手なこというな!観月はいつもそうだ勝手に決めて勝手に去っていく残されたものはどうすればいいんだ・・・・・・・・・・・・・・。」

 「赤澤。観月のこと応援してやれよ。」

突然、明後日の方から響いた声に驚き赤澤と観月はその声の方へ目を向け唖然とした。声の主は静かに二人に近づくと言葉を続けた。
 「観月が自分で選び自分の進むべき道を見つけたんだ。それを留める事は誰にも出来ないはずだ。」
 「・・・・・・・・・・・・・・橘君・・・・・。」
ボー然と呟く観月に橘は励ましのような笑みを向けた。それはとても眩しく太陽のように耀く頼もしい笑顔であった。
 「悪いな、立ち聞きするつもりはなかったんだが・・・・・・・・・・・・・・。でも観月、お前決めた事だ誰かが間違ってるなんて言う事は出来ないはずだ。それを決められるのは観月お前だけだ。」
橘の言葉に赤澤もワシワシと頭をかくと観月に言った。
 「アーーーー、もうしょうがね。観月が決めた事だ応援してやるよ。その代り俺は気が長くないからさっさと帰って来いよ。ルドルフで皆で待っててやるからよ。」
 「赤澤、ありがとう。」
 「今日の試合勝とう。勝って全国まで行ってそれで親父に突きつけてやれ!俺のテニスはこんなに凄いんだってことを!」
 「おいおい、赤澤。俺たち不動峰だって全国の切符はそう簡単に渡さないぞ。」
 「いえ、橘君今日僕たちを応援にきたこと後悔させてあげますよ。僕たちが全国に行ってね。」
 「たく・・・・・・・・現金な奴だ。」
橘は目を細めそう呟くと赤澤と顔を見合わせ苦笑した。
 「それでこそ観月だ。」

そうです。
そうやって気兼ねなく生きていっていいんですね。
僕らはまだ始まったばかり今から気を張っていたら肩がこって仕方ない。
僕らはまだ分りあえるだって始まったばかりだから始まりはいつも困難で苦境の時もあるけどそんな時でも笑って肩の力抜いて生きていけば・・・・・・・・・・。
きっと楽しいですよね。



 「かっこいい!タチーって超カッコ良くない不二!」
大変なところを覗き見してしまった不二周助と菊丸英二とその他青学一行様。特に英二は興奮したように頬を少し赤らめて不二に叫んでいた。
 「そうかな。」
 「そうだよ!それにバカ澤もカッコ良いよね!観月ってもてるんだね。」
バカ澤は失礼だろうと心の中で密かに突っ込みを入れた不二は英二の言葉に憮然とした表情で聞き返した。
 「英二は観月が羨ましいの?」
 「羨ましいじゃん。俺もタッチーみたいないい男に励まされたい!」
 「俺の方がいい男だとか思ってません部長?」
後ろで二人の会話を聞いていた桃城武が部長である手塚国光に話を振った。
皆が声を殺して笑っていたところに手塚に一瞥され皆かえって噴出すのを堪えるのに苦労した。

 「英二はそんなに橘が好きなの?」
妙に拘る不二に英二は人の悪い笑みを浮かべ耳元に囁いた。
 「不二それってもしかしてヤキモチ?」
 「僕が?どうして?」
不二の間髪入れずに返って来た言葉に英二はプーと頬を膨らませ言った。
 「即否定しなくてもいいじゃん!」
 「そう?でも英二にヤキモチを妬く理由なんてないじゃない?」
英二はその不二の言葉にさらに不機嫌そうに呟いた。
 「・・・・・・・・・不二なんて嫌い。」
 「そう?僕は英二が好きだけど。」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
さらっと告げられた不二の告白に言葉をなくし真っ赤になって睨む英二。
最初は英二有利かと思われたやり取りも終わってみればいつものように不二の圧勝となった。他のメンバーはただ二人に当てられただけである。
しかし青学よ、皆でデバガメとは都大会決勝前なのに暇だね・・・・・・・・・・・・・・・・・。



 「よし観月まずは一勝だ!」
 「ええ、赤澤。」
 僕たちの夏は始まったばかり。




end

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