駆け引き上手 4


商談は誰が話の主導権を握るかで決まる
恋愛の主導権は誰が握るのか?
俺たちの輪を巡る主導権を握るのは
きっとあの人だけ・・・・・・・・・



 「牧は?」
 「牧さんは部室に鞄を取りに行きました。」
 「そうか・・・・。」
藤真はため息を吐くように呟いき、更に言葉を続けた。

 「あのさあ、神さっきのことは忘れてくれるか。」
藤真は長い睫毛が軽くゆれ目を伏せがちにし神に話し掛けた。 
 「さっきのってなんですか?神さん?」
清田は勢い込んで神に聞きかえした。
 「あのことですか。」
神は清田を軽く無視して横にいいる藤真ににこやかに返事した。
 「ああああなんスカそれ神さん!藤真さん!気になるじゃあないですか?」
神の言葉に反応した清田が叫ぶが藤真、神は気にせず話しを続けた。
 「忘れてくれればいい。」
今度は神を正面から見つめ、きっぱりと言い切る藤真。神はその強い眼光に目を細め微笑んで言った。
 「忘れませんよ。藤真さん。」
 「神・・・・・・・・。」
複雑な顔をして神を眺める藤真。藤真に微笑んで答える神。



 「だからなんッスカ?????????」




 「ここですよふ・・・・。」
目的地が見えてきて清田は嬉しそうに藤真へ振り返って話し掛けようとしたがその時藤真の鞄の中の携帯(藤真が携帯を持っていたかは謎だが時代が時代なので恐らく持っているだろうという設定でよろしく)が鳴った。
 「牧からだ。」
藤真は携帯を取り出し着信者の名を確認すると携帯の通話ボタンを押した。
電話を掛けてきたのが牧と知った神と清田は心の中で「なんで藤真さんの携帯番号知ってるんだ牧さん」と思ったとか・・・・・。
 「どこかって?・・・・清田なんて店だ?」
藤真は携帯を清田の方へスッと向けた。
 「お好みヤッタリベ〜ッス。」
清田は練習で鍛えた自慢の喉(?)を披露したのだが近所迷惑である。
 「聞こえたか、牧。じゃあま・・・・・。あ仙道いたのか。」
藤真は驚きの声を上げた。いつの間にかいなくなっていた仙道にてっきり帰ったのかと思っていたのだ。
 「仙道さん帰ったんじゃないんスカ。」
藤真の口からでた名前が気に食わない清田は思わずまた自慢の喉で叫んでいた・・・・・・だから近所迷惑だって。
 「仙道もう切るからな!」
電話口はまだ何か言っているようだが藤真は少し微笑みながら携帯を切った。


 「蚊帳の外かな・・・・・。」
藤真の微笑を見て複雑な心境の神に清田は能天気に話し掛けた。
 「神さんなんか言いました?」
 「いや、ノブ別に。」


 「先に店に入ってるって言ったから行こう。」
藤真は携帯を鞄にしまうと僅か数十メートルに迫っていた『お好みヤッタリベ〜』へと歩を進めようとした。
 「藤真さん、聞いていいですか?」
藤真は出しかけていた一歩を引くとそのまま振り返った。
 「何を?」
 「携帯です。」
神のにこやかだけど笑っていない瞳。その奥にどんな感情を隠しているのかわからない藤真は軽い口調で返した。
 「いいけど。」
 「神さんズルイッス。藤真さん、俺も携帯持ってます。知りたイッス。」
藤真と神の向かい合ってる間に入るように会話に加わる清田を軽く無視して神は藤真へ畳み掛ける。
 「藤真さん。携帯へ掛けてもいいですか?」
 「もちろん。」
笑顔デカワサレタ藤真ノ言葉。

神は一瞬眼を見開き驚きの色を浮かべた。
 「俺も掛けますからね!」
清田は一人叫んでいた。






   小説TOP   →