日常的風景


めまぐるしく過ぎていく日常の中で
そこだけがぽっかり開いた穴
中を覗いてみるとそこには不思議が詰まっている
君と二人で見つけた不思議 
それは恋



 ある日の出来事。
それはとても天気の良い昼下がり、俺はソファに座り雑誌を読んでいた。そんな俺の膝に頭を乗せ寝そべってビデオを見ている一人の男。
男の名は藤真健司、俺の恋人。
 「花形。なんでだよ?」
藤真は少し不機嫌そうに頬を膨らませいつの間にか俺を見つめて聞いてきた。俺は雑誌から目を離し藤真に視線を向け・・・。
 「何?」
俺が静かに尋ねると藤真は一層頬を膨らませ言った。
 「コンタクト買ったんだろ。何で俺の前では一度も着けないんだ。」
俺はおかしくなりくすくす笑いながら答えた。
 「その事か。」
俺の態度が直一層気に入らなかったようで藤真はそっぽ向いてしまった。
 「花形が俺に見せない姿を他の人は知ってるなんて・・・・・・・・・。」
可愛い拗ね方をしているなんて本人には自覚がないんだろう。そんなだから俺が人知れずやきもきしているのにだって気付かない。
 「何がおかしいんだ?」
藤真がまた剥れる。
俺は時々、自分が酷い奴だと思う。藤真のこんな可愛い顔が見てみたくてわざと怒らせるのだから。
 「・・・だよ・・・・藤真・・・・・・・。」
 「何だよ。聞こえなかったぞ。」
 「好きだ藤真。」
 「・・・・・・・・・・・・・・。」
雑誌を除けて無言で赤面している藤真に口付ける。
テレながらも答えてくれる藤真がこんなにいとおしいと思うのも日常。俺の日常はいつも藤真と共に回っている。

 「花形誤魔化すな!どうしてだ完結に答えろ!」
そう言って俺の眼鏡を指差した藤真に近づき耳元に囁いた。
 「コンタクトなんて使ったら藤真の事がよく見えすぎて、藤真以外何も目に入らなくなるから。」
 「・・・・・・・・・・・ば・・・・・・・・・・・・な、なん・・・。はながた!」
真っ赤になりながら口をパクパクしている藤真に俺は頬へ口付けた。
 「なんだ藤真?」
俺はそ知らぬ顔して藤真に問いかけた。藤真は真っ赤なまま俯いた。
ホント俺は藤真の前では子供だ。好きな子に意地悪してしまう子供。



なだれ込むような情事の後、突然藤真が宣言した。
 「花形。コンタクトにしろよ。二人の時だけ許す・・・・・・・・。」
 「・・・・・・・・・藤真。」
俺はジッと藤真を見つめて呟いた。そんな俺に藤真は不服そうに問い掛けた。
 「何だよ。花形なんか言いたい事があるのか?」
 「・・・・・・・・それは暗に”二人の時は俺だけ見ていろ”って事か?」
 「?!」
またもや真っ赤になりながら口をパクパクして声にならない叫びをあげる藤真に俺は微笑んだ。
 「そんな事思わなくてもいつでも藤真だけを見てるのに?」
俺はそう囁きながら腕の中に引き込んだ。すると藤真は腕の中で暴れる。
 「そんな恥ずかしい事誰も思ってないぞ!!」
俺は聞こえないふりをして腕に力を込める。すると藤真はムキになって否定するのでそんなところもいちいち可愛い。
 「花形。誤解するな!違うぞ!!」
 「誤解?何が?」
 「だから”二人の・・・・・・”・・・・・・・。」
 「何?」
 「もういい。」
 「藤真?」
 「・・・・・・・・・・・・・。」
少しからかいすぎたかな?
俺は怒らせてしまったかと藤真を覗き込んだ。
 「本当は・・・・ちょっとは思ってたから・・・・・・・・・・・」
藤真は顔を真っ赤にしゴニョゴニョと呟いた。
 「・・・・・・・・・・。」
 「何だよ。」
ジッと藤真を見つめている俺に藤真は怪訝そうに上目遣いで尋ねた。俺は今なんともいえない表情をしているだろう。
結局俺はいつも藤真に勝てない。

心に占めるこの感情その名は幸福。

俺が今藤真と共に居られるのはあの時藤真と出会えたからだ。
そしてこの幸福が日常となったのもあの時出会えたから・・・・・・・・・・。


 「藤真、愛してる。」
 「何だ急に?」
突然の告白に戸惑いながら、ぶっきらぼうに答える藤真。
 「言いたくなったから・・・・・・・・・。」
 「???」
心からの感謝を今この日常に・・・・・・・・・・。






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