気ニナル人 |
どれもこれも気に入らない 最近イライラがたまっている? 何がこれほどに俺の人生を迫害するのか 人生の楽しみ方が解らない 読解能力以前の問題? いったいいくつの昼夜を過ごせば気付くのか キーワードは一つ年上の美人 |
雨が降っていた。 その日は朝から雨が降っておりちょうど梅雨時、練習は運動部で体育館の使用権争いとなりうちは負けた。 その日の雨は恵みの雨となり俺たちに休日をもたらした。 出会いはスローモーション 古い歌詞が頭の中を駆け巡った。 今がこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて 歌が人生の糧になるどこかでそんなフレーズを聞いた。 俺の人生はどんな糧が詰まっているのかわからない。ただ心臓が高鳴っただけ。 たったのそれだけ・・・・・・・。 「仙道。」 糧が溢れ出す。 「練習はサボったのか?」 「いいえ雨で中止です。」 「へっ体育館なのに雨で中止?雨漏り?」 「梅雨ですから他の運動部もさすがに体育館を使いたいらしくて。大会前だから今日だけですけど。」 「確かに雨だからって練習しないわけに行かないもんな。」 「そうです。だからたまにはいい休養になります。」 「陵南はいったい何ヶ月ぶりの休みなんだ。」 「忘れました。」 「そうだろう。俺と会うのもその前の休み以来だからな。」 避けてた? そう貴方は言いたいのでしょう。 でも口にしない。貴方のプライド?気位がそれを許さないから? 俺にはわかります貴方の言いたいことがわかるんです。 手品でも魔法でもないただ想うだけの力で、貴方の口にしない言葉が全て瞳で雄弁に語っているから。 知っていますか貴方のその瞳を見るたびに俺が貴方への欲求を強くするということを・・・・・・・・。 けして報われることのないこの想いの先の欲求を・・・・・・・。貴方は気付いているのですか? 「仙道どこか行くか?なんか食べるか?」 雨の中傘で見えない貴方の後姿。そっと見つめ俺は口を開く。 「いいえ・・・・。」 「行きたいとこないのか?」 俺の答えが気に入らないのか振り向いた貴方は傘を少し持ち上げ俺を覗き込んだ。 「どこにも行きたくないです。」 貴方の瞳が不信気に色づく。 俺が思い描く休日の過ごし方と貴方の考える休日の過ごし方はかなりのズレがある。そのことに気付いたのは付き合い始めて間もなくでした。 「俺は行きたいとこがあるんだけど。行ってもいいか?」 「聞かなくても俺はいつでもついていきますよ。貴方に。」 「仙道、つまらない答えだな。」 「そうですか?酷いな。」 「牧がお前に会いたいってっさ。」 「なんでしょう?」 「さあな。俺はお前が考える以上に牧とは仲良くないのかもだって考えてること全然理解できないからな。」 俺のことはどうですか?そんな言葉を飲み込んでみた。 今の貴方と俺の距離、傘と傘の距離だけ近づけない。それはそのまま心の距離ですか藤真さん? 「牧さん大学へ行ってもバスケは相変わらずですね。噂よく耳にしますよ。」 俺の仕掛けるトラップで貴方を開放し楽にしてあげます。 「俺の噂は?」 「藤真さんの噂は聞かないことにしてます。」 「どうして?」 「聞くと嫉妬するからですよ。例えどんな噂であっても・・・。」 本当は海南大の噂なんて塵ほども聞こえてきませんよ。 「仙道・・・・・・・・・。」 「藤真さん、俺にいいたいことがあるんでしょう。」 「・・・・・・・・・。」 「言ってケジメつけて下さい。そうしないと終われないですよ貴方も俺も・・・・。」 「仙道。ごめん俺・・・・・・・。」 「いってください。最後までそれが礼儀です。」 「牧が好きだ。もう嘘はつけない。」 「貴方は嘘などついてません。最初から・・。」 貴方の瞳は最初から嘘などついてはいなかった。一人の人だけを見つめその視線の途中を俺が掠めただけ。 奪ったのは俺、苦しめたのも俺、引き裂こうとしたのも俺。デモ出来ないのらな諦めるしかない。 諦めのよい男それが俺。そういう風に生きていくしか道がないのなら俺は諦めのよい男でいい。 いい人で終わる恋が独りよがりなら俺は一人よがりな男、そうして生きていく。 「ごめん、仙道・・・・。」 避けてたのは俺、最後通告を聞きたくなくて貴方を避けたのは俺。 4月から海南大に行くと言われた時からこの結末はわかっていた。でもそれでも諦め切れなくて貴方に清算をさせなかったのも俺。 相反する二つの心に俺がだした結論。 「終わりですね。もう行って下さい。あそこで黒い人が待ってますから。」 「えぇえっ?牧?!」 「行って下さい、藤真さん。」 「俺はちゃんと仙道のこと好きだったから・・・・・・・・。」 「わかってます。貴方のことなら・・・・・・。何でも知ってますよ。」 貴方の瞳に光るものが見えるのは俺の錯覚ではないですよね。 「最後にキスしていいですか。」 そっと頷く貴方の顎をスッと持ち上げると貴方は瞳を閉じた。その時にこぼれた涙は一生俺の心に降り続くだろう。 「牧さんに妬かないで下さいって伝えてください。・・・・・・さよなら藤真さん。」 俺は傘が好きだ。雨も好きだ。 でも雨と傘は好きではない。 |
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